マキタバッテリー BL1830 故障モードと修理

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オークションやフリマアプリで売られている、ジャンク品バッテリーを修理してみた結果を記事にします

この記事を見る事によって
・ジャンクバッテリーの故障内容と確認方法、修理難易度がある程度予想できます
・修理難易度が低い場合の修理方法が記載されています
・修理を諦める場合の確認点も記載されています

ジャンクバッテリーの故障と修理に関する基礎知識

BL1830の通称18Vバッテリーは、リチウムイオンバッテリーを5直列としています
バッテリー分解前に下記の確認ができます
・端子間の電圧
・充電器に刺した時のLED表示
こちらの確認より始める必要があります

実際ジャンクのバッテリーを8個程購入して確認してみました。
当初予想では殆ど セル不良=寿命 または 充電バランスのズレ かと考えておりましたが、意外な結果となりました 

1-1.端子間電圧がほぼ無い(3V以下)の場合

リチウムイオン電池のセル自体が完全放電状態、寿命と考えられます
セル単体の状態で再充電を行っても復旧しない、または殆ど容量が無い事が考えられます
リチウムイオンバッテリーセルの単体入手や、格安の互換バッテリーからの移植などで復旧させる必要があります

1-2.充電器にセットするとLED赤点灯、冷却中から進捗しない場合

端子間の電圧は15V~20V程度あるが充電が開始されない
バッテリー側の基盤に装備されている温度センサー(サーミスタ)の不良が考えられます
こちらはカバーを外さないと確認できませんが、通常のサーミスターは常温で10kΩ程度、そちらが断線状態(数MΩなど)ならバッテリーが冷えた状態でもオーバーヒートと判断されて充電が開始されません
この場合、リチウムイオン電池のセル自体は正常と考えられます

1-3.充電器にセットするとLED赤・緑の交互点滅、充電不可表示の場合

端子間の電圧は15V~20V程度あるが充電が開始されない
基盤を交換しないと、まず助かりません。
この場合、リチウムイオン電池のセル自体は正常と考えられます

実際の修理手順

2-1.必要な工具

T10トルクスドライバー

T10トルクス・ドライバー(セット)
結構硬くネジが締まっているいるのでコレくらいしっかりした物が良いかと思います。

リチウムイオンバッテリーに熱を加える半田付けは余りお勧めできませんが、簡易的に作業をする場合はステンレス用フラックスが使えます。

本格的に行う場合は、このようなPortable Spot Welder がお勧めになります。

元々ついているスポット溶接は結構強固に溶接されているので溶接剥がしに、このようなミニ・グラインダーを使用しました。

リチウムイオンバッテリーのセル単体用の充電器です、単体での充電や容量チェックなどが出来る高性能な機種です。

マキタ互換の充電器、電圧・電流が確認できる液晶付きの方が良いかと思います
そしてセルや基盤の入れ替え・交換を行った場合はマキタ純正の充電器は12A充電対応と高性能すぎるために使用してはいけません。
互換品の3Aクラスの低速充電器を使用してください。

2-2.分解手順

T10トルクスドライバーでバッテリー底面より4か所のビスを取り外します、ソコソコ固く止まっています

各症状による修理手順

下記に私が体験した症状を記載します

3-1.リチウムイオンバッテリーセルの不良・寿命

最初にテスターを用いて各リチウムイオンバッテリーのセルごとの電圧確認を行います
列ごとに電圧を測定して、約3V~4Vあれば正常、1Vも無いようならその列のセルは問題ありとなります。
該当列のスポット溶接を剥がしてセルの取り外しを実施
リチウムイオンバッテリーセル単体用の充電器にてテストを行ってください
不良表示や充電出来ても極端に容量が少ない場合は交換が必要です。

全てのセルで1V以下しかない場合
復帰の可能性は少ないですが、安定化電源で両端に18V程度、1A程度で定電圧充電を行い。
充電中に各セルの電圧を監視してください、大きな差が無く充電が進むようなら長時間充電で復帰する可能性があります
殆どのセルが3~4Vの時に、1列だけ2V以下などが発生している場合は該当セルに問題ありとなります

3-2.基盤不良

両端電圧が18V以上あるが充電器に刺すとLED表示が赤・青点滅の充電不可となる
この場合は基盤不良です。
基盤交換するしかありませんので現状付属の基盤形状を確認して同様な形状の基盤の入手が必要です
私が使用した基盤は下記の物です

商品リンクはこちら→マキタリチウムイオンバッテリーpcb保護回路ボード18v
格安の交換基盤の割にちゃんと各セルの電圧監視をおこなっている模様です
しかし自分が使用した場合は基盤の取り付けネジを締めると位置決めピン2か所の位置が合わないという問題が全数で発生、ピンの方を削り落としました。
やはりこの価格で使用は可能ですが完全を期待しない方が良いです

他には、大型の基盤がついていて上端・下端の+、ーのタブがの向きが下記のようなに平行のもの

商品リンクはこちら→makita電動工具用バッテリー保護ボード,HOT-BL1830
こちらは電池残量LEDが付いているので、本来はBL1830B(後期モデル)用の基盤かと思われますので
ピン位置やネジ位置の問題、そして+側タブ位置の問題がありますが
一応本基盤も流用が可能でした、実際交換を行った事例は別ページで公開予定です

他に

+とーのタブが直交しているタイプの基盤などもありますが
当方手持ちの電池パックにはこのタイプの構成はありませんでした。
たぶんBL1830B(後期)のタイプにしかないタブ形状の基盤かと思われます

こちらの基盤交換を実施した作業例が下記の通りとなります、ご参考まで

3-3.サーミスター不良

端子両端の電圧はある、充電器に刺しても充電不可の表示もない、しかし冷却ファンだけが廻っていつまで待っても充電が開始されない
そんな時は温度検知のサーミスタの不良が考えられます
サーミスタの両端の抵抗をテスターで測定すると正常時は約10kΩ程度ですが、不良時は数十MΩ(オープン)を示します
その場合では充電器は常にオーバーヒートと判断して充電を開始しません。
上記の対応などで不良と判断した基盤があれば、そこからサーミスタを移植することが無難ですが存在しない場合は、この場合も基盤交換が必要となります

修理を諦めた方が良い場合

マキタの互換基盤は確認したところ市場には上記の3種類が出回っております。
すくなくとも私が入手したジャンクのバッテリーパック(8個)は全て該当しましたが、他の物も存在するかもしれません
もし、未知の基盤が装備されているバッテリーパックの基盤の故障が判明した場合は事実上修理不能となります
リチウムイオンバッテリーセルの部品取りや、サーミスタの部品取り用となります

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